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アート性、作家性、実験性の高いユニークなアニメーションを、世界各国から選りすぐってご紹介する、
ジェネオンのアニメーションのシリーズ。   

アレクサンドル・アレクセイエフ作品集

アレクサンドル・アレクセイエフ作品集

Alexandre Alexeïeff Film Works

本編38分+特典89分
GNBA-1097 ¥6,090(税込)
2006年7月21日発売
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プロフィール

1901年ロシア生まれ。17歳でロシアを離れて以降、船員としてアジアやヨーロッパを回る。
1921年にパリで舞台装置デザインを学び、1926年から本の挿絵を始める。1931年にパーカーと出会い、1933年に初めてのアニメーション作品「禿山の一夜」を完成させる。1940年にクレア・パーカーとともにアメリカに移住し、結婚する。ノーマン・マクラレンの紹介でNFBから仕事の依頼を受けながら、1950年代に再びフランスに戻り、広告映画の制作を再開する傍ら、映画学校や美術館での公演、インタビューなどを積極的に行い、やがてヨーロッパを始め、アメリカやカナダで作品の回顧上映や挿絵作品の展覧会などが行われるようになった。また、NFBでピンスクリーンの講習会を開くなどし、次の世代の育成に貢献した。
ピンスクリーン技法を共に開発したパーカーは、撮影のすべてを仕切り、楽譜を読めないアレクセイエフの代わりに映像と音楽のシンクロを研究したり、ピンボード作業では裏面を担当するなど、アレクセイエフの制作活動に欠かせないパートナーだった。

アレクセイエフは17歳で離れ、二度と戻ることがなかったロシアに対する憧憬や情念を抱えながら制作活動を続けた。実際、制作した5作品あるが、そのうち3作品がムソルグスキーの音楽を、1作品がゴーゴリの小説を題材にしている。
また、夢で経験するような、次から次へと形を変えていく映像を作ることにこだわった。アレクセイエフがパリで芸術を学び始めた頃の、20世紀前半のヨーロッパ美術界に流行した表現主義、幻想主義に影響はもちろんだが、ロシア的な情緒、詩的表現を求めたアレクセイエフの嗜好があったのだろう。
ピンスクリーンは、白い板に黒いピンをびっしり立てたもの。板面に斜めにライトをあてることにより、ピンの影が白黒の絵を作りだす。ピンの高低とライトを操作することで影のようにあいまいなハーフトーンの輪郭の絵を生み出し、従来の切り絵やイラストによるアニメーションではなしえなかった、幻想的なメタモルフォースを映像化することが可能となった。木版や銅版など版画の知識をもとに、独自の表現で自分のイラストを音楽にシンクロして動かすことに固執したアレクセイエフの執念がこの技法を生み出したといえる。

フィルモグラフィ

1933年 禿山の一夜 
1944年 道すがら
1962年 オーソン・ウェルズ監督映画「審判」(原作・カフカ)のプロローグ部分とエピローグ部分
1963年
1972年 展覧会の絵
1980年 三つの主題

作品解説

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禿山の一夜

Une nuit sur le Mont Chauve

1933年制作

版画挿絵画家であったアレクセイエフが初めて制作したアニメーション作品であり、世界で初めてのピンスクリーン・アニメーション。当時弟子であったクレア・パーカーとの共同制作で、18か月を費やした。ノーマン・マクラレンは、この作品の独自性、詩的雰囲気、魔法のようなメタモルフォース、ファンタジー、明暗を融合した新しい技法を讃え、自分の人生、制作活動に影響を与えた2つの作品のひとつにあげている。

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道すがら

En passant

1944年制作

カナダ国立映画制作庁NFBがカナダ民謡(フランス語)にあわせた映像シリーズのための1作。第二次世界大戦中にヨーロッパを離れ、アメリカに移住していた時に制作した作品。
風車や畑、教会などの前を通り過ぎるたびに、怖い音がしたように聞き間違えて、おびえて逃げ回る様子を歌った民謡。教会のシーンで壁が透明になり、内部と外部をクロスさせる立体的な表現が、後に「鼻」に用いられている。

lenez

Le Nez

1963年制作

1964年、クノック・ル・ズート映画祭、オベルハウゼン映画祭、ディプロマ映画祭で受賞。フランス国立フィルムセンターから表彰。
ロシア出身のゴーゴリの小説が題材。台本を作らず、即興性や、新しい方法や表現を自由に試みることに重点を置いて制作した。また、他の作品では音楽にシンクロするように映像を制作したが、本作品は、まず、メトロノームの速度に合わせて映像を制作し、次に、映像にあうように音楽を制作した。
冒頭の太陽の光の変化により時間の流れを表現したり、空間や場面が変化していく様子など、ピンスクリーンでなければ描けない、独特の非現実的な映像世界を作り上げた。

uneexposition

展覧会の絵

Tableaux d’une exposition

1972年制作

1972年フランス国立フィルムセンターから表彰。 題材は、ムソルグスキーが友人だった画家ハルトマンの遺作をモチーフに作曲した、10曲からなるピアノ組曲。アレクセイエフは、10曲のうちの始めの3曲と、各曲のモチーフとなった絵をベースに作品を制作したが、ハルトマンの絵をそのままなぞるのではなく、そこにムソルグスキーの幼児期の生活や情景を反映させた。
本作品で初めて、大きなピンスクリーンボードの前に、小さいピンスクリーンを回転させることにより、より立体感を演出する手法を採用した。

trois

三つの主題

Trois themes

1980年制作

1980年ザグレブ映画祭審査委員賞受賞。
「展覧会の絵」の続編として制作され、ムソルグスキーの4番から6番目の曲までを使用している。今回はハルトマンの絵の要素よりも、オリジナルの題材を映像化している。4曲目では、自分が夢で見た月夜の晩にそよぐ葉の様子をスローモーションで表現し、5曲目では「展覧会の絵」で制作したイメージが壁にかかっている絵になるように演出し、6曲目ではムソルグスキーが自分の音楽を出版社に持ち込んでいる様を描いた。
1981年にパーカーが、1982年にアレクセイエフが亡くなり、二人の遺作となった。

commercial

映像特典
コマーシャル映画 20編


眠れる森の美女 パンディスク
自動的オーケストラ オスラム
帽子のパレード 四つの天使
新星 100%
コシナール
ノクターン 不変
汚れなき美 匿名
脚韻 オートメーション
仮面 気晴らし
地球のエキス

映画館で上映されたいわゆる劇場用コマーシャル映画。アレクセイエフは第二次世界大戦前の1935年から1939年、およびアメリカからフランスに戻った1952年から1964年の間に、わかっているだけで37本のコマーシャル映画を制作している。その中には「ESSO」「NESCAFE」「EVIAN」「GITANES」など世界的に知られた会社のCMが多い。
最初の作品「眠りの森の美女」は、フランス初の劇場用カラーコマーシャル映画であり、アレクセイエフによる本格的な人形アニメーションであった。以降は立体アニメーション作品が続く。さらに50年代以降の作品では複雑な撮影技術を開発し、それを取り入れた作品が増えていく。たとえば「煙」は、トータリゼーション技法を研究し、制作に1年をかけた大作であった。
自らの監督作品では白黒のピンスクリーン・アニメーションにこだわったが、コマーシャル映画はほとんどがカラーであり、常にアニメーションの可能性を追求し、独自の新しい表現に挑戦している点が興味深い。

習作「振り子の習作」

映像特典
習作
「振り子の習作」

1950年撮影

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映像特典
習作
「イリュージョナリー・ソリッドの研究」

アレクセイエフが開発した撮影技法の研究フィルム。対象物を動かし、その残像が作る動きの光跡をイリュージョナリー・ソリッドと名付けた。さらに、このソリッドをフィルム上に撮影する方法をトータリゼーションと名付けた。振り子と電磁石による機械の組み合わせで計算どおりに対象物を動かすことができるシステム、いわゆるモーション・コントロールによる撮影法の一種を開発したのである。タバコのコマーシャル映画の「煙」や石油のコマーシャル映画の「地球のエキス」に、こうした撮影法を取り入れている。
1950年に習作「振り子の習作」を撮影。このときに制作した振り子を使い、1960年に習作「イリュージョナリー・ソリッドの研究」を撮影したと思われる。

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映像特典
ドキュメンタリー
「ドクトル・ジバゴのための挿絵」

1960年撮影

アレクセイエフとパーカーは、パステルナーク著「ドクトル・ジバゴ」(1959年出版)の挿絵を約200枚ピンスクリーンで制作したが、その後まもなく同じ出版社のクリスマス・カードをピンスクリーンで制作した。その頃、フランスの映画会社が撮影したドキュメンタリー。
パステルナークはアレクセイエフの挿絵が自分の作品を理解し、洞察的に視覚化したと絶賛したという。

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映像特典
ドキュメンタリー
「ピンスクリーン」

1973年撮影

ノーマン・マクラレンが監督した、アレクセイエフとパーカーがNFBのアニメーターにピンスクリーン技法を教える様子を撮影したドキュメンタリー。後に有名になるアニメーション作家が多数参加している。
NFBはアレクセイエフとパーカーが制作したピンスクリーンボードを買い取った。1976年にそれを使ってジャック・ドゥルーアンがピンスクリーン作品「心象風景」を制作している。

「三つの主題」

映像特典
ドキュメンタリー
「三つの主題 メイキング」

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