26回目 視聴モニター 前半
そろそろまともに技術話に戻ろう。
先日1枚目のBlu-rayプレビュー
(中身は完成していたのだが、メニューやシステムのチェック)を
した。その際に大問題がでた。
プレビューしたのはPIONEERの最高機種、通称快楽亭ブラック!
(冗談ですってば)プラズマのでっかいやつとPS3という環境。
(ケチってる訳でなくオーサリングチームは専用のBDとブラビア使ってます。
実際観る人が多いPS3の環境を我々がチェックしている)
普段はもっぱら編集集室では好き嫌いはあるにしても
ブラビアが多い。チェックという点では非常に明るく見やすいブラビアは
編集室という点では確かに利点はある。それにSONYクオリティ
個体やモデルによるバラツキのなさも大きな利点だろう。
ただ個人的には実はそれほど好きではない。
ソニーらしい画はばっつぐんに奇麗なのはいいのだが
案外その手の画は使わないし、逆にブラビアだから
見えちゃうブロックノイズとかもあるし
「マスターが問題なのか?モニターの問題なのか?」ということで
作業がイチイチ止まるのはあまりよろしくないのだ。
まぁ、すべて一長一短だし、黒が美しく艶のある高級感溢れるブラックとて
そういう意味では完璧なわけではない。専門家でないのでわからんが
モニターはほんと好みと使用目的で選択すべきもんだと思う。
で問題がなんだったかといえば
プレビューしていてあるシーンが色が転んでフィルムが
焼けたように見えたのだ。つまり編集室で見た状態と
モニター環境の違いを考慮しても明らかにおかしいと思えたのだ。
「やばいやらかした!大チョンボだ。オレの目は既に腐ってる。」
脳裏によぎる。修正で金かかって予算オーバーしてしまう恐怖。
まぁ、ほんとに細かいものであれば第4の目を使い、コストバランスという
マスクをかけるのだが、これはちょっとというレベル。
確か編集室では平気だったのに??なぜだ?まさかオーサリングで
転んだのではと?人の所為にしてみたりするが
こちらもデジタル計測器を体に仕込んでいる
わけではないので確認のしようもない。結局
スケジュールが例えようもないくらい押している中、
「なんかおかしいのでマスターから修正します」とした。
他にもフィルムの液ダレやついでに直したいカットも発見したので
先週土曜に修正をした。
だが編集室に入るとどうしたことだろうそこにあるのは
自分の脳裏に寸分違わぬ色。あれ?やっぱマスターおかしくないぜ!
自分の記憶力に酔いしれたが、問題は解決していない。
このマスターが転んでしまうってことは何が問題かを突き止めなくてはならいのだ。
というか、問題に見えていた状態がなんであるかを探らなければ
解決のしようもない。自分の頭の中に刻まれた色や状態を懸命に思い出すのだ。
(嘘っぽく聞こえるかもしれないですがほんとです。さすがにプレビュールームの
機材一式編集室に運び入れろとまではいえないんで)
感覚だけだと怖いのでエディターの中村氏にこのシーンだけなので
波形とかオシロ(オシロスコープ)異常ないですか?と聞くが異常はない。
そりゃあったら編集の時に直してるし…
そうこうしている間に一瞬画面がかわった。
「い、今の画!それそれ、プレビューでみたの。何?何したの?」
事件解決のヒントを見つけたコナン君ばりの興奮。
「YUVからRGBに変換して100%超えてるとこをカットしたんです」
にやりとする私。
「そっかなにかの事情でYUVでやりきれなくなってこのカットをRGB処理をはさんで
しまってその際にうっかりキューテック(C)ってことだな」ふふふ。
このやり直し料金はまけてもらうぜよ!
ドドーン続く。