前回の反省の弁もむなしく、またまた一週間アップできなかった‥‥‥とほほ。
しかし、今週は最終話・第13話のアフレコとかあったし、いろいろあったんで仕方ないかな。
まあ、くよくよするなよ>自分
◆さてさて最終話のアフレコはそりゃあもう、とてつもなく大変でした。
何が大変 かってねぇ‥‥‥いや、まさかあんな事になろうとは‥‥ってな感じです‥。
あんな事さえなければ、今回のアフレコはこれまで13回の中でも最もベストな状況で、
基本的には何の問題もなかったはずなんです。
役者のみなさんはもう全てキャラクターを自分のものにしているし、
気合い充填もばっちりで、こちらからあーだこーだ言うこともないくらい完璧なコンディションだったのですが‥‥‥
こともあろうにワタシが‥‥‥(涙)。
いえね、午前中も普通に仕事してて全然なんと言うこともなかったんです。
そのあとも、アフレコ開始2時間前くらいに一件打ち合わせをいれていたんですけど、その打ち合わせの間も全然なんと言うことはなかったのです。‥‥そのときは、まさかそんな事になろうとは、思ってもみなかったんですが。
アフレコ開始20分前くらいだったでしょうか、なんか急にハナが出始めて、とまらなくなって、
おまけにくしゃみも爆発的に激しくなってきて‥‥。
そう。どうやら風邪をひいてしまったようなのです!?
あまりに急な事で何の事前対策も講じていなかったんで、焦りました。
ティッシュをもらってハナをかみまくって、ビタミンを急遽摂取して、上着を着込んで、
緊急対策モードで臨んだんですが‥‥‥その努力の甲斐もなく状態はますます悪化。
そしてアフレコ開始の時間にはほぼ最悪な事態に。
はじめはいつもの様にブース(役者さん達のいるところ)の中に入って直接演技の説明をしていたのですが、
しゃべっているあいだにもタ〜ラ〜〜〜ッとハナがたれてくる始末。
このままでは役者さん達にうつしてしまう危険もあるわけで、仕方なくマイクを使ってミキサー室側からトークバックで説明する方法に切り替え。 しかし、トークバックでしゃべっていても突然襲いかかってくるくしゃみ5連発攻撃の猛威!
たれるハナ!
かむ!
そのたびにとぎれる説明!
最悪!
アフレコそのものは非常に順調に進んだのですが‥‥‥そんなわけで、とてつもなく 大変だったのです。
アフレコ後にスタジオのロビーでお疲れさま会をやったのですが、風邪の威力は衰える事なく。
そんなワタシはとにかく風邪をうつしてはならないと、自主隔離状態でヒト気のないとろで静かにしてました。
ちなみにその後は家に帰ってソッコー寝まくって一晩で強引に治しました。
◆あ、てなところでスペースもつきまして、3話のラストの解説はまた次回のココロっちぅ事で。
すんません。
アニメ以外のおつきあいとかで中途半端に知り合いで、でも全然共通の話題のない人と長時間ふたりっきりになったりすると、
当然間が持たないわけです。思いっきり気まずい雰囲気のまま何時間も‥‥
なんて、ほとんど拷問うけてるに近い精神状態だったりして。
なんか共通の話題があればと思って話題をふってみても「ああそうなんですか」で、会話終了‥‥‥
逆にこっちに話題ふられても、全然知らない話だから「へえ」で、会話終了。
そんな時に、ふと共通の話題が見えたりすると思わず飛びついてしまいたくなるのは人情というものです。
しかし、それで会話が弾むかというと、そんな事はなくて ‥‥ ていうか、だいたい逆っつーか。
例えばなにかの拍子に「とんかつ」というタームが両者の耳に飛び込んできたとしましょう。
そしたら相手が「最近うまいとんかつ食べてないなあ」とっぶやきました 。
さあ!私は思います『よし!共通の話題があった!今だ!』。
で、すかさず!「うちの近所にうまいとんかつ屋があるんですよ」と応答します‥‥‥が‥‥しゃべりながらすでに後悔しています。『(ココロの中)この人の家遠いのにうちの近所の話してもしかたないじゃん‥‥それにおいしいって言ったってみかけが特別なわけじゃなし
、説明しにくいじゃん‥‥ああ、なんでこんな応答しちゃったんだ、オレ』てな感じで 、 心の中しらけまくり。
その後は「ころもがいいんですか」「ええまあ」「やっぱり肉が特別なんでしょうか‥‥」「さあそこまではちょっと‥‥」てな感じで、結局会話は弾まず、どっちかというと前よりも気まずさはパワーアップしてたりして(涙
)。
私が思うに、3話のラストのユコって、たぶんそんな感じだと思うんですよ。
「エリに対して、多少気安くしてもいいかな‥‥」と思い始めたけど、共通の話題はない。で、たまたまOリングテストなんていう共通の話題があったもんだから、ついあんなこと言ってしまった訳です。
言ってる具体的な内容は「奈津野さんって、ティッシュつかわないほうが性にあってるんじゃないの」っていうような事だと思うんですけど、冗談交じりのつもりで「ティッシュをOリングテストしたら、はずれるんじゃない?」なんてね。
でも、たぶん言いながら後悔してるんですよ------- 『なんか、コレってわかりにくい冗談だったな‥‥説明してもつまらんし‥‥案の定伝わって
な いし(- -#)‥‥』 エリは『宮部さんがなんか自分に話題ふってくれてる‥‥けど、よく分からない‥‥こんどそちゃんと聞かなきゃ‥‥聞いて受け止めなくちゃ』ってなもんで、食い下がるし。
共通の話題がない者同士がコミュニケーションとろうとして、逆にしらけてしまう 【空気】の感じが、シナリオでまず気に入って、コンテでも「うんうんうまくいってる
」と気に入って。
アフレコの時、最初清水さんはこのセリフの意味がよく分からなかったようで、冗談っぽくちょいとふざけた口調でやってくれたのですが「そうじゃなくて」と説明して「このユコは喋りながらしらけはじめてるんですよ」って言ったら「ああ〜」って納得してくれて、そしたらバッチリ!今の演技がでてきました。
正直言うと17才でこの【空気】の気分はわからないのでは‥‥という思いもよぎりましたが、
いや全然大丈夫でしたね。つーか17才なら分かって当然なメンタリティなのかな?
自分の17才の時の事は思い出せないんですがね(汗)。
まあ、そんなわけで、自分としては完成品のこのシーンは「特にうまくいった」と
思って、お気に入りのシーンの一つになっているわけです。
ただ、わかりにくいと言うことなので、もうすこしかけあいセリフを追加したりしたほうがわかりやすくなったのかなぁ‥‥と、思ってますが。でもむつかしいですね、セリフで言っちゃったら【空気】じゃなくなっちゃうし‥‥。
『Strange Dawn』は、セリフの意味ではドラマは進まず、会話の間の空気がドラマを進めるということに挑戦しているので、いろいろいたらぬところもあるのかなぁと
ちょっぴり自戒しつつやってます。
なんせこんな事は普段のアニメではやらないですからね‥‥だって大変だし(汗)。
自戒しつつと言いつつ、もう最終回もダビングおわっちゃったけどね。打ち上げも 昨日やったし。
ああ、うちあげ楽しかった。
15日は、オンエアお休みなのでした。
やっぱりオンエアがないと、なんか寂しいです‥‥。
ほんで、22日は18:00からスタートの1時間枠で、6話と7話の2本オン エアになります。みなさまお間違えのないよう。
「毎週」で録画セットしている方は、セッティング修正の必要がありますので特にお気をつけください。
◆2本連続オンエアなのに予告は律儀にあります。
5分後にはじまる作品の予告 やってどうする!?という気もしないでもないですが、
そういう枠組みなんですからしょうがないですね。
ちなみに、この予告のナレーションはワタシが書いてます。
あんまり深く考えて 書くよりも、どちらかというと勢いがあったほうがいいので、
アフレコの前の日 に「えいやあっ!」と、気合いで書くのです。
毎週‥‥‥、そう、本当は毎週書いて、毎週録るというのが当たり前&人の道なんですが、すんません(汗)、
けっこう書くの忘れてしまうんですよ。結局、いつのまにか隔週で2本録りというの
がパターン化してしまいましたね。
ま、でもほら、2本まとめたほうが演ずるお二人も気合いが入ってよかったんじゃ ないでしょうかね。うんうん。
◆予告ナレーションというのは、音楽とのかねあいもありますんで普通30秒の予告だと22〜25秒くらいの長さに作る物なんです。
まず音楽が始まって、つぎにナレーションが入ってきて、そしてナレーションが終わったらそれをうけるように音楽もすうっと終わる‥‥‥というのが、イー感じなわけです。
『Strange Dawn』の予告は絵の長さが20秒ですから、だいたいそうですね‥‥14〜16秒くらいでしょうか‥‥‥普通ならね(笑)。
でも! 『Strange Dawn』の予告ナレーションは、ワタシの趣味により20秒〜21秒あるんですよねぇ〜っはぁっはっはっはあっ
まいったね。
なんたって普通に喋ったら24〜26秒くらいある量を、がんばって無理矢理20秒台で喋ってもらってるんですから、も〜う早口で大変です。
原稿どおりに喋ったら30秒くらいあるかもしれないのを現場で削って、なんとか尺におさめたりしてね‥‥っつーか、
おさまってないんですけどね。でも、ほら、勢いがあったほうがいいし。
◆おさまっていないからって、はみ出させとくわけにもいかないので、録音の川崎さん(「どれみ」でおなじみ)が、何とかおさめてくれるわけです。いやぁど
うやっておさめているんでしょう。
川崎さんは時々「ナレーションは尺におさめて録ってくれよ」とか
「予告は毎週録ろうよ」とか、
わがままをいいますが、いい人です。
サウンドトラックのCDが発売になりました。
もうすでに買って下さった方もいらっしゃるようで、ありがたい事です。
最近のアニメ事情ということで言いますと、サントラアルバムというのが、以前のようには売れなくなってしまっているんですよね。
歌モノはまあそこそこ売れたとしても、BGMだけというのはなかなかね〜。
ワタシ達がアニメファンだった頃は、ひと番組に対してゲットできるアイテムの数が少なかったということもあったんでしょうが、好きなアニメのサントラアルバムなんていうのは、片っ端から買っていたものですが‥‥。
だから、今でも当時好きだったアニメのBGMを鼻歌で歌ったりする事がたまにあります。
でも、最近はカードだフィギュアだと買う物が一杯ありますからねぇ、お財布が追いつかないんでしょう。シュン‥‥‥‥。
そんな事情もありまして、最近はなんだかへろへろなBGMのアニメがホント多 くなっているんですが、
『Strange Dawn』のBGMは本格的です。
オーケストラものの録音というと例えばワルシャワだのモスクワだのといった、海外の楽団を使う事もままありますが、国内ですしね。予算も通常のワンクールアニメでは考えられないスケールです。
ドラマを離れて音楽だけを聞い見てみると、またいろいろ新しい感動があると思いますので是非聞いてみてください。
CDのライナーには、ワタシ&和田さん&春田プロデューサーの対談や、選曲家のコメントが
載っていまして、音楽を作るに当たっての苦労や、実際の選曲に当たってのうちわ話を読むこともできます。
ちなみに、選曲家の佐藤恭野はワタシの奥さんです。
音楽をいれる作業はだいたい次のような段取りで作業してます。
まず。毎話、編集の後、自宅に戻ったワタシはビデオを見ながらセリフの長さを調整するのですが、
それと同時に台本に“音楽ラインを引く”という作業をします。
音楽ラインは、例えば、カット23のレカのセリフを受けてスタートして、 カット30一杯で終わりたいと思ったら、
台本のその箇所に直接だああああ〜〜っ と引いておきます。 そして、そのラインには「不安げ」とか「優しさ」とか、
その箇所に欲しい音楽のイメージを書いておきます。 そして、その台本を選曲家に渡します。
その選曲家とは『Strange Dawn』の場合、 ワタシの奥さんですね。
選曲さんは編集済みのビデオを見て、ラインが引かれている箇所のシーンの意味やムードと書かれている曲のイメージを元に、
どの音楽を使うか考えてラインの長さに合わせて音楽を編集します。
このとき、入れる音楽によってはライン通りでない方がいいということが、結構あります。
また、前後の流れから考えると「戦い」と書いてあるところでも「心」 というイメージの音楽をいれた方がいいということもよくあります。
全くラインの無いところに、入れてみるとなかなかにいいぞ!ということも、これまたよくあります。
音楽は事務的に、アクションシーンだから「アクション」悲しみのシーンだから
「悲しみ」、というように入れると
無難ですが、それでは音楽もシーンも生かせません。
ここの、“ひとひねり”が勝負所です。
もちろん、だからと言って全部ひねると訳が分からなくなりますから、そのように常識的にいれるところも必要なのですが、そのあたりの塩梅にセンスが問われるわけです。
あと。『Strange Dawn』では、多くの回で、ラストシーンにオープニングテーマのインストが使われているのですが、繰り返しこの音楽を使う事で、物語をいかにも『Strange
Dawn』らしく盛り上げて締めるのに効果発揮しています。
例えば こういったシリーズを見渡しての構成的なアイディアも、重要なセンスですね。
毎回、ダビング(セリフ、効果音、音楽をミックスする作業)の前の晩は、自宅で音楽を仮に当ててみて、あーだこーだと夫婦で議論しておりました。
とりあえず、それがもとで夫婦喧嘩に発展したという事は、ありませんでした
(笑)。